今回は「中学受験の目的」について考えてみたいと思います。もちろん、今こうしてこの文を読まれている方は、合格に向けてまっしぐらに進まれているか、あるいは現在検討中かのどちらかかと思いますので、中学受験の目的について掘り下げて話しを進めたいと思います。
まずは何のための受験なのかを考えてみましょう。各ご家庭によって目的はさまざまでしょうが、最近よく耳にすることは「近所の公立中学が荒れているから」とか「高校受験が大変そうだから」と言った理由です。確かに地域によってはこのような要因も考えられるかも知れません。が、しかし、中学受験で最も大切なことは、中学受験をする目的の明確さではないでしょうか? それは、それほどに大変な受験だからなのです。なんとなくとか、周りの子がするからとか、曖昧な目的で受験のレールに乗ってしますと、後でいろいろな不具合が起きるものです。その多くは受験勉強の内容に対しての大変さを痛感し、挫折を味わうこともしばしばです。
ましてや、首都圏の中学受験率はここ数年来上昇中ですから、どう考えても、合格しにくくなってきているのです。さらに、近年の公教育の問題を考えましても、以前より学習指導要領が減っているにも関わらず、競争の厳しい中学受験に臨ませることは、かなりの危険が伴うということを認識しておかなければなりません。
以前は、中学受験は4年から・・・という時代もありました。が、しかし、近年はどの塾も、中学受験は低学年からと、小学校 1 年生からカリキュラムを組んだり、通信教材を編集したりと、その加熱ぶりは火に油を注ぐばかりです。そのため、どの受験生も多くの知識を詰め込まれて受験というステージに上がってきます。オーソドックスな試験をすると、誰もが高得点を取ってしまうほど、勉強はよくさせられているようです。が、しかし、各私立中学はここに来て、次のようなことを言い始めてきています。「受験で知識を無理に詰め込まないでほしい」と。これはいったいどういうことなのでしょうか? どちらかというと、本音と建前で言えば、建前に当たる要素が強いようです。結局、ある程度の知識がないと、入試問題は解けませんし、しかも、難関校になりますと、さらに問題が難しく、これまでに見たことのないような問題も出題されます。大事なことはただ単に知識を詰め込むのではなく、すべての下支えとなるものは子供たちの好奇心にあるため、順番としましてはは知識が先ではなく、好奇心を育むことが先だということなのです。
ところが、近年の中学受験の全貌を見ていますと、あまりのゆとりのなさに、好奇心を育む以前に大量の知識をどんどん詰め込むことが多く、子供たちが徐々に無機質になっていっているということが言えるのではないでしょうか。これは、大変大きな問題です。つまり、知識力はついているものの、それをどのように応用するのかと言った、生活力あるいは人間力のような、本来 人が生きるために最も重要な能力として持ち合わせなければならないものが欠如してきているということなのです。
もう一度原点に戻りましょう。まずは何のための中学受験なのか。それは、わが子に合った学校を選択したから、または我が家に合った教育方針にかなった学校だから、など、具体的な各ご家庭の方針が最重要で、それに伴って子供たちも、それに沿って自分たち自身のわかりやすい目的を見つけるわけです。文化祭が楽しいからとか、制服が可愛いからなど、この親子の目的意識が明確になって初めて、中学受験への二人三脚が始まります。
が、しかし、あくまで二人三脚ですから、途中で何度も足がもつれたり、あるいは転んだりするかも知れません。でも、お互いの足を結ぶひもがほどけない限り大丈夫です。また、声を掛け合い、足並みをそろえて歩き出せば、必ずスピードも速まり、足がもつれる場面は少なくなると思います。大切なことは、お互いの呼吸を合わせ、整えることです。親が勝手に先にどんどん行ってしまったり、お互いが別々の方向に行ったりするようなことがないようにすることでしょう。
中学受験は 12 歳の受験です。まだまだ人間としても発展途上の段階で大きな舞台を経験するわけですから、それはそれははらはらどきどきです。でも、しっかりと舞台を支える役は親御さんの役目です。どんなことがあっても励まし続けていくことが大切です。そのため、私たち 専門家はあらゆる場面を経験していますので、迷ったり、困ったりしたときはすぐに相談してほしいと思います。なぜなら、親が困ったときは、誰より子供たちが困っているときだからです。
hotline 代表 横山 善則