中学受験はあくまで長い人生のうえでの通過点でしかありません。そのため、この受験勉強の中で、子供らしいあらゆるものをそぎ落とすことは望ましくないと思います。たとえば、自然と触れ合う時間。特に子供の頃に自然と触れ合うことは、命あるものへのいたわりや、人と自然の共存を目の当りにしたりと、地球に生きる限り大変重要な意味を持ちます。
次に家族の団欒です。人生は一度だけです。その中で最も強い絆で結ばれているものが家族です。ですから、悩み苦しみの場面でも、喜び、楽しみの場面でも家族と分かち合う時間を持つこともまた大変に重要な意味を持ちます。
毎年 毎年 中学受験を迎えるご家族を見ておりますと、受験が終わったあと、その家族は以前にも増して家族の絆が強くなるように感じます。もちろん、合格・不合格と言った一つの結果が笑顔や涙を誘うことになるのですが、それ以上に深い絆を育くむのが中学受験なのでしょう。
先日 このようなご相談を受けました。お母様は小さい頃、とにかく好きなことを一生懸命にさせてもらった。そして、その好きな道をどんどん究め、それがご自身のお仕事になり、今に至るという人生を送られたそうです。ところが、そんなご自身の成長ぶりを振り返ると、あまりに好きなことばかりに時間と労力を割いたことで、勉強面ではバランス感覚に欠け、成績の面でもかなりの凹凸が出てしまったそうです。だからこそ、わが子にはどの教科もまんべんなく勉強させたいという思いが、徐々にわが子に対して強くなっていったそうです。そして、その思いが子供本来持っているはずの好奇心を摘み取るようなことになり、理科や社会への興味も持てず、ただただテストのために勉強する、あるいは入試のために勉強するというような楽しくない学習に陥っていったのです。
ところで、よく「血は水よりも濃い」と言いますが、親は自分が苦労したことをわが子には通ってほしくないと思い、なるべく違う道を歩ませたいと思う場合があるようです。しかし、現実はなぜか、親に似ると言いますか、なぜか似てくるもののようです。自分が好きだったこと、没頭したことをよく思い出し、たとえ中学受験生であっても、子供らしい探究心や好奇心を育む環境は大切にしていきたいものです。
hotline 代表 横山 善則