今年も中学入試の足音がススキを揺らす秋の風とともに運ばれてきます。そして、気候も段々と涼しくなってくると、わが子が合格するイメージより、もしも不合格になったら・・・と心配になる場合が多いようです。気がつくと、これまで考えてもいなかった学校の説明会に足を運んでいたり、知人の方から他の塾の様子を聞く度にわが子への不安・心配が増幅したりと、子供以上に親御さんの方が不安定になりがちです。
そろそろ学校選びを真剣にしないとと連日あちこちに足を運ばれている4年、5年生が多いことと思います。学園祭、文化祭もピークを迎えています。
そこで今回は子供に合う学校、合わない学校についてお話しをさせていただきたいと思います。
私立中学には大きく分けて中高6年一貫校と大学付属の2種類に分かれます。さらに、中高6年一貫校でも、大学進学に向けた体制を確立している管理型(例:聖光、巣鴨、サレジオ、攻玉社、逗子開成、豊島岡、頌栄、鴎友など)と、自主性を尊重する自由型(例:麻布、芝、女子学院など)があります。また、中高6年一貫校の中にも、香蘭のように立教大学の系列校として一定の推薦枠を持つ学校もあります。大学付属(系属)の中でも他大学へ多くの生徒が進学する進学校もあります。(例)武蔵、フェリス、早稲田、立教女、東京女学館、白百合、東洋英和、湘南白百合、清泉、洗足など
さらに、全国各地に全寮制の進学校もあります。そして、男子校、女子校、共学校、共学校でも別学(男女クラス別・例:桐光、桐蔭学園など)と分かれますので、これらの条件とお子様の性格とを比べ判断しましょう。では、どのような視点で学校を選ぶことが望ましいのかを掘り下げていくことにします。
まずは何といいましても学校までの距離です。自宅から近いことにこしたことはないのですが、遠くても1時間から1時間半前後が限界でしょう。地図上に我が家を中心にし電車で約1時間前後まで可能な範囲をコンパスで円を描くと、その中の学校が選択肢ということになります。もちろん、どうしても行きたい学校が決まっていて、そこに通うためには今の家からは物理的に無理なため、合格した後で自宅を学校のある同じ区内に引っ越したご一家も過去にはいらっしゃいましたが、これはレアケースと考えましょう。
次に、男子校、女子校、あるいは共学校の選択です。近年では女子が圧倒的に高2ぐらいまでいろいろな面でパワフルだったりするようで、それが理由で最初から男女別学を希望する子もいます。または綺麗な校舎と可愛い制服の多い女子校を選ぶ子もいます。また、親御さんの立場では、将来のことも考え、バランスという面から共学校を選ばれることもありますが、基本的には共学校の数は男子校、女子校に比べ少ないため、難度が高い傾向があります。特に有名大学附属系(慶應、早稲田、青山など)は高難度になります。しかし、やはり多感なこの時期、普段男女一緒に過ごす時間は貴重でしょう。各共学校では男女の人数比を変えているところもあります。(例:慶應中等部・男子140名、女子50名前後の募集など)
続いて管理型か自由型かということですが、まだまだ勉強や生活面できちんとした指示と管理が必要な場合は管理型が安心でしょう。あるいは、人からあれこれ指図されるよりも自分で創意工夫をしたいという子は自由型をお勧めします。管理型の学校の多くは大学進学に向けた学習をきちんとさせてくれますので、親の立場では安心です。が、しかし、勉強以外の分野に興味が出て一旦その枠から外れた場合などは、窮屈になる子が出たりします。つまり、高2ぐらいから進学・進学・・・、国立・公立・難関校合格・・・と言ったプレッシャーが重くのしかかる時、その重みに耐え切れなくならないような器が必要だということです。勉強があまり好きではない子には厳しい6年間になる恐れがあります。反対に普段からコツコツ勉強する習慣のある子には最適でしょう。勉強のチェック機能が働くとモリモリ学習効果が高まりグングン成績アップにつながるような子に向いていると言えるでしょう。
そして自由型の学校ですが、この学校の多くは制服や宿題も自由だったりと6年間で自分で生きていく力を養うことに重点を置いています。よって、いろいろな経験を積み重ねることができます。その点では器の大きな子を育てることが可能でしょう。でも、自立が遅く甘えん坊の子にとってはあまりに開放的すぎて何を目標に取り組んでいいのかわからないということもあるかも知れません。結果を急がず、失敗も成功もたっぷり経験しようという意気込みがこの自由型には必要なようです。「自由」ということばの裏には「自立」という要素が必要であることは言うまでもありません。
先日訪問させていただきました、成城中高には校訓以外にも校歌の中に「自学自習」というメッセージがあるくらいです。個性豊かな子、自己を追求したい子には最適と言えるでしょう。
また、一般的に大学附属系の場合は系列大学への進学がある程度保証されている場合が多いため、勉強だけにとらわれず、部活やサークル、ネットワークを広げる取り組みなど、幅広い経験ができるというメリットがあります。大学受験を意識せずに伸び伸びと生活できるでしょう。
まとめますと、次のようなことが言えるでしょう。
○真面目で勉強好き、次への目標を持っている場合 ⇒ 中高一貫の管理型進学校
○多方面に興味を持ち、個性豊か、集中力がある ⇒ 中高一貫の自由型進学校
○勉強以外の分野への興味も強く、スポーツや芸術活動が好き ⇒ 大学附属校
○過保護に育ち、中高で親元を離れた環境で自立をさせたい ⇒ 全寮制の中高一貫校 など。
近年の特徴として、親御さんからのアプローチで受験を始めるというよりも、子供が友達の影響を受けて受験を決めたとか、やりたい運動や活動が地元の公立中学にはないため、私立中学を目指したいなど、明確な目的をもって受験勉強を始める場合が増えてきています。この場合、目的意識が明確ですから、あとは勉強する内容とその仕方を具体的に指示してあげることが必要です。受験する上で好条件ではないでしょうか。公教育の変化ということも大きく影響し、ますます変化する中学受験、学校選びはスタートを切るためにも大切です。以前はこのような親御さんが多かったと思います。「・・・とにかく頑張ってみて、入試直前にどれだけ成績が伸びているかを見極めて受験校を選びます」と。でも、この場合、子供達は目的が具体的ではないため、いったい自分はどこまで行けばよいのか、迷走することもしばしば。このことは指導する側も同様です。目的が明確でない場合の受験勉強は、まるで地図のないドライブのようなもので、いったいどれぐらいのスピードでどの方角へ進めばよいのやら、伴走する立場としても、とりあえず全部頑張って勉強しようとしか言えないのです。でも、目標校がある程度定まっている場合は、この学校の入試傾向に合っているものだから、これはしっかりとやっておこうと、勉強の的が絞りやすいと言えるのです。
よって、目標は早くに具体的にこしたことはありません。また、3年生や4年生の段階から学校へ直接足を運んで子供の印象を確かめることです。これと言って具体的な回答がないものの、なぜかわが子はこの学校を気に入ったようだということもよくあります。もちろんその逆もありますから、2年〜3年ぐらいは毎年学校訪問をお勧めします。きっと、子供が本来持っている感覚のようなものが第一印象で強く働くのでしょう。今は、合同イベントなど各学校同士が一同に介し、個別相談などが受けられるようになっていますので、5年や6年になったら、ぜひ、第1志望校の先生と直接話をする機会を持ち、合格に向けた勉強方法やアドヴァイスを受けられると励みになると思います。
本人がどうしてもその学校に行きたいと希望しても、入試問題との相性という要素も大きく関わってきます。つまり、模擬試験の偏差値はそれほどでもないのに、受験する学校の入試問題を解くと、快調に解けるとか解きやすいという印象を持てば、相性がよいことになり、その逆は相性が悪いということになります。自由型の学校で記述指向の入試問題が作成されるのは前述の通り、生徒一人ひとりの個性を十分に尊重してくれるからです。そのため、毎年11月以降は受験する学校の入試問題を繰り返し繰り返し何度も解きながら、徐々に得点力をあげていきます。そして、実際にボーダーラインを一度でも超えるようになってきますと、妙に自信を持つものです。このあたりが12歳の受験という繊細な要素が関わってくるのです。何回か合格ラインを超えるような成功体験を重ねると、本当に合格できる気持ちになるものです。入試では、よく根拠のない自信を持つ子が毎年何人かいますが、意外に入試には強いものです。でも、反対に実力はあるものの精神的な弱さを持つために、入試直前に失速する子もいますので、この入試問題の活用は精神的な面でも重要な取り組みといえるのです。
最後になりますが、子供に合う学校を見極めるには、まず第三者の方にわが子の性格を見てもらって(hotlineでのカンセリングはまさにこの場になります)その上で視野に入れるべき学校をリストアップし、そこから実際にわが子を連れていく。そして純粋に本人が気に入った学校を志望校にすることが望ましいと思います。また、そんな気持ちが芽生えてから入試問題を意識させて勉強に取り組ませるようなことが理想だと思います。入試問題の相性こそ、学校との相性のようなものです。
でも、長い人生において中学や高校あるいは大学ですべてが決まるわけではありませんので、あまり神経質になりすぎて、いつまでも親の方がこだわりすぎても問題のようです。最後は本人の意思を最大限尊重してあげましょう。
「成績が第1志望校に到達しなかったら親が受験させてくれなかった。でも、第2志望以下の学校は全勝することができた。もし、あの時、第1志望校も受験していたら合格していたかも知れない・・・」と、今も口にする大学生のOGがいることも忘れないでください。
では、第一志望校合格を目指して努力を続けましょう。
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塾長 横山善則