中学受験の勉強は確かに大変です。学校では習っていないこともたくさんあります。そのため中学受験を目指す子ども達の中には、家でも塾でも合格することが優先されるあまり勉強させられている場合も少なくありません。ところが、高学年しかも受験直前になってくるとどんな子ども達も徐々に「合格できるかな?」、「合格すればいいな」という弱い気持ちから「合格したいな!」、「絶対に合格するぞ!」という強い気持ちに変わることで、勉強も本格的に自ら取り組むようになります。
では、この勉強させられている段階と、自ら勉強に取り組む段階では何がどのように違うのでしょうか。最も大きな違いは意識の差です。まずは勉強させられている場合を考えてみましょう。勉強しなくてはならないことがわかっていても取り掛かれないでいると、つい親から指摘を受けます。するととたんにやる気をなくしてしまった経験は誰でもが持っているはずです。また、実際に勉強に取り掛かっても、内容的にもその達成度も高くはありません。具体的にはていねいさの違いが大きく出ます。雑な計算、いい加減な文字を書く場合、原因はいやいややっていることが多いものです。時間ばかり費やす割には何も身につかないという非効率的な状態です。文章を読む際も、なかなか感情移入ができないとか書く文章がなかなか膨らまないなど小学生の場合は如実に表れるものです。だからこそ、記述や作図などの作業を伴う勉強あるいは試験ではこのモチベーションの差が大きな得点差となるわけです。
しかし、何かのきっかけの後に大きな変化をもたらすことがあります。ちょうど、この夏休み前は身の回りの木々と同じように子ども達にも成長の兆しが見られます。自分の周りでも何人かの生徒がなんらか成績面、学習面の辛い時期を乗り越え、ここに来て顔つきが変わってきました。そうです、この変化こそがさせられる勉強からする勉強への転換期にあたるのです。それまでは勉強が難しいとか、復習が大変だ、あるいはやりたくないなどという言葉が口から発せられたこともあったのですが、ここに来て、ほとんど文句も言わず、先生から指示を受ける前から勉強に取り組んでいます。きっと自分のどこかでやらなければいけないんだな、という発想が芽生えたのでしょう。
よく僕はこの状態を温度計にたとえて話をします。0を中心に上は自ら取り組む勉強の方向、逆に下のマイナスの世界は勉強をさせられている世界、そしてその距離が学力の差なのではないでしょうか。ですから限りなくいやいやながら勉強をさせられている子が−10の点にいるとして、反対に自ら合格したいという強い意思で勉強に取り組んでいる子が+10の点にいるとしたら、その差は20という大きな差につながります。まったく異なるベクトルだと思うのです。そして、さらに意識の低い段階で勉強を無理にさせようとすると深いマイナスの海に沈んでいくものです。
では、どうしたらこのプラスの方向に自ら向かうのでしょうか。端的で明確な答えは提示しにくいのですが、その一つはなぜ我慢をしなければならないかを理解することです。その週の復習が押せ押せになると翌週の学習に影響が出る、そうすると自由な時間も減ってしまう、しかも成績も下がってまたお母さんに叱られると。そうすると男子はわかったわかったとあきらめて勉強に向かいます。また、女子の場合もここで踏ん張っておくと夏休み以降の復習が楽になり、冬以降の過去問に時間がたっぷりと割くことができる。そうすると当然、志望校の入試傾向に慣れた分、合格しやすくなる!と言えば、ハイハイ!やります!やればいいんでしょ!とか口ではそんな言葉を発するものの、黙々と取り組んだりするものです。
あとは具体的に何をどうやれば成績が上がるのか、志望校に合格するのか、その全体像をわかりやすく説明してあげることでしょう。子どもは単純なところがあって、あれもこれも言われるよりも、これだけを3回繰り返そうと言った方がのってきやすいものです。つまり、やるものが明確化している方がきっと安心してやれるからでしょう。でもそのやるべきものが複雑であれもこれもと言われるともう嫌気がさしてしまいます。
そして、締めくくりには期待の大きさを体いっぱい使って表現することです。大人も同じですが、期待している、君ならやれる、君に託すなどと言われると仮に大げさでもその気になったりするものです。
中学受験でグングン成績を伸ばすためにはこの自ら勉強に取り組めるきっかけを作ることです。そして、多くの場合、このタイミングは成績がよい場面や勉強が順調な場面ではなかなかやってこないものです。親子で成績不振という奈落の底に落とされたとき、もう一切が嫌になって親子げんかをしたときなど、一つの転換期にやってくるものです。そして最も子ども達を支えてあげなくてはならないときなのです。「ピンチの後にチャンスあり」とは本当のことなのです。しかも中学受験でも言えることなのです。
だからこそ、受験勉強での挫折を恐れてはいけないと思います。成績が下がったらどうしようと常に親が転ばぬ先の杖をついても困ります。自らが自分の足で大地を踏みしめ、しっかりとした足で歩き出すタイミングを待ちましょう。勉強は自らするものです。自分のためにするものです。そうなるためにも大人が常に期待をかけ子ども達の気持ちをしっかりと受け止めながら、何度も何度も繰り返し話してあげること。そうすることで必ず変化が表れます。大人の期待度が子どもを動かします。私達hotline(ホットライン)では一人ひとりの子ども達の心を見つめ、深いコミュニケーションを軸に学習指導を行っています。
hotline (ホットライン)
塾長 横山善則